奈良の屋根工事店です。新築・リフォーム・雨漏りの修理などしています。
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2章        雨漏りのパターン

 この章ではよくある雨漏りパターンを2種類にわけて説明します

  ・古い家特有の雨漏り
  ・擬似雨漏り

古い家特有の雨漏り

①瓦のずれ
 古くなった屋根は、葺き土が崩れ瓦もずれてきます。テレビのアンテナや、温水器の取り付け工事や布団を屋根に干すなどで、古くなった屋根の上を何度も歩くとより痛みやすくなります。
 瓦のずれがあると、瓦の上を歩くとガタガタしたり、瓦の縦横の並びが直線でなくなってきますので、気をつけてみれば分かると思います。最近多用されている桟葺き工法では、瓦のずれが少なくなっています

②瓦の割れ
 特に瓦が重なって見えない所に亀裂が入った場合があり、注意が必要です。瓦が割れる原因は以下のようなものがあります。
(イ)、強い衝撃、重み
 石を当てたり、重い物を落としたり、台風で看板が飛んできたり、又人が屋根に上って瓦を踏んだり、梯子をかけたりなどがあります
(ロ)、瓦に鉄釘を使用している場合(手打ち釘は大丈夫です)
 鉄釘は錆びると太くなり、その圧力で瓦を割る事があります。銅釘、ステンレス釘、アルミ釘であれば問題ありません。ところが、鉄釘が悪いものというわけではありません。瓦釘は手打ちの鉄釘が一番良いといわれています。手打ち釘は表面が錆びるだけで、鉄の中まで錆びないので、木材と釘が一体化して抜け難くなります。 
(ハ)、瓦の耐久性
 古い瓦では耐久性のない瓦もあります。 最近の瓦は強くなり、50年以上はもつあるいは半永久的とも言われます。東大寺法華堂や奈良の元興寺では、1000年以上前に製造された瓦が今でも使用されています。
(ニ)、凍害
 瓦の割れ方が普通の割れ方と異なり、千枚めくりのようにはがれます。

③瓦の傾き
 ①の瓦のずれと似ていますが、見落としのないように、別の項目にしました。水や風が集まる部分では少しの傾きも雨漏りの原因になる場合があります。破風付近の瓦の傾きや、下り棟の重さで地瓦が傾いている屋根をよくみかけます。ただし、捻れに強い瓦は、瓦を故意に傾けて安定をとるなどしている場合もありますので、注意してみてください。

④木の葉や、土、藁などで水を止めている
 詰りやすいところは、入母屋のトンネル、棟違いのトンネル、隅棟のトンネル、谷、樋、捨て谷などです。見えにくい場所の詰りも気にしなければなりません。

⑤破風瓦と紐丸からの雨漏り
 破風瓦は①~③が起こりやすく、更に、破風瓦をおさえている紐丸の土からも水が入りやすいので注意が必要です

⑥棟からの雨漏り
 古い家では、棟からの雨漏りがあります。棟の土が崩れて、棟のし瓦が逆勾配(本来の傾きと逆)になったり、のし瓦が割れたりします。雨漏り後、棟土の濡れ具合を見て判断します。

⑦谷板、樋、板金の腐蝕
 特に銅版は酸性雨に弱く、瓦に積もった塵や露や霜を含んだ水が雫となって落ちる部位で銅版が溶けて変色しているのをよく見かけます。

⑧大屋根の樋
 以下A~Eのような原因で大屋根の樋の水の流れが変わった場合です。大屋根の樋から庇に落ちた水が飛び散って起こる雨漏りや、大量の水が一ヶ所に集まる場合などです。
       A 樋の詰り
       B 瓦のズレにより大屋根の雨が樋を越えて落ちる
       C 樋の穴
       D 樋の勾配が狂い、水の逆流
       E 樋の容量の問題 

⑨一箇所に大量の水が流れる屋根
 通常の瓦一枚の排水能力は、瓦50~100枚に降った雨量が限度です。谷板により集まった水や壁にあたった水一枚の瓦に流れたりすると、雨漏りになります。

⑩壁、窓際からの雨漏り
 壁や窓の破損に伴い、壁の切れ目片、窓枠、窓・壁・瓦・板金との接合部の剥れなどからの雨漏りがあります

  

擬似雨漏り

①結露     1章参照

②生活用水の漏れ    
 天井にできたシミは雨漏りと思われる事が多いですが、実際は別の原因の事も多いのです。                        例えば、クーラーの排水、水道の水漏れ、水をこぼした時のシミなどです。

③動物が原因
 鼠や猫のおしっこによる天井のシミを雨漏りと勘違いされたケースが何度かありました。屋根裏に入った時の臭いで疑い、実際、動物が屋根裏などに入れないようにすることで解決しました。また、動物が濡れたまま家に入って雨漏りと勘違いというケースもありました。

④湿気を吸って変色
 梅雨のように、湿度の高い日には、木材などには湿気を吸収して変色する部分があります。材質全体に変色すれば気にならないのですが、木材の特定の部分だけ変色すると、雨漏りと勘違いされます。特に雨漏りを起して傷んだ木材でこの事が稀に起こります。見た人には雨漏りがまだ修理できていないと思われてしまいます。

   

*擬似雨漏りは雨漏りではありませんが、雨漏り修理でよく出くわしますので、記載させていただきました。

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